「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
だった。風の強い日に彼が丘の背を大股《おおまた》で歩き、洋服をばくばくと風になびかせてゆくのを見ると、
貧乏神が地上におりてきたのか、あるいは、どこかの案山子《かかし》が玉蜀黍《とうもろこし》の畑から逃げだ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ケルという世間には余り多くない名前であった。父のジェームスは鍛冶職人《かじしょくにん》で、身体も弱く、
貧乏であったので、子供達には早くからそれぞれ自活の道を立てさせた。 ヤコブス・ウェルス・ミュースの家....
「一片の石」より 著者:会津八一
といへば、まるでそれが故人であるやうに、その石を拝む。そして、その石が大きいほど貞女孝子と褒められる。
貧乏ものは、こんな点でも孝行がむづかしい。 なるほど、像なり、建物なり、または墓なり何なり、凡そ人間....