「駅伝馬車」より 著者:アーヴィングワシントン
る御馳走に今にも飛びつかうと待構へてゐたが、他の人達は煙草をふかしたり、ビールを呑み雜談に興じ、爐邊に
据ゑてある背の高い樫造りの椅子に腰をかけてゐた。小綺麗に身づくろひした女中達は忙しく行きつ戻りつして、....
「クリスマス・イーヴ」より 著者:アーヴィングワシントン
つしりしたダマスク織で、色は褪せてゐたけれど高い帳《とばり》が附いて居り、張出窓と向ひ合つた壁の窪みに
据ゑてあつた。床に入るか入らぬかに、音樂の調が突然|空《くう》に、窓のすぐ下の方で起つたやうに思はれた....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
込むべしと思えば心に勇みを持ち、この宿りにては風呂へ入りしが棚へ脱ぎたる衣類の間には彼の三十円あれば、
据風呂の中へ入りながらも首を伸してこれを看《み》守りたり。出立つ前に年寄の忠告にも、「旅は明日志す所へ....