「南洲手抄言志録」より 著者:秋月種樹
是より山野に游獵《いうれふ》せり。人或は病なくして犬を牽《ひ》き兎を逐《お》ひ、自ら南洲を學ぶと謂ふ、
疎《そ》なり。 一一 雲煙聚於不得已。風雨洩於不得已。雷霆震於不得已。斯可以觀至誠之作用。 〔譯....
「秋」より 著者:芥川竜之介
してゐた。が、彼女は又ためらつた。その暇に何も知らない彼は、とうとうこの幌俥とすれ違つた。薄濁つた空、
疎《まば》らな屋並、高い木々の黄ばんだ梢、――後には不相変《あひかはらず》人通りの少い場末の町があるば....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
辣な弁舌を弄する人間でも、菊池と或問題を論じ合うと、その議論に勝った時でさえ、どうもこっちの云い分に空
疎な所があるような気がして、一向勝ち映えのある心もちになれない。ましてこっちが負けた時は、ものゝ分った....