「クリスマス・イーヴ」より 著者:アーヴィングワシントン
てきびきびした小男で、その物腰は正眞正銘の獨身老人であつた。鼻の形は鸚鵡の嘴のやうで、顏には微かに天然
痘の痕があり、秋の霜にあつた木の葉のやうに、いつも乾いて赭みを帶びてゐた。その眼は敏捷で活々として居り....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
に会ったのは上海《シャンハイ》のあるカッフェだった。(彼はそれから半年《はんとし》ほど後《のち》、天然
痘《てんねんとう》に罹《かか》って死んでしまった。)僕等は明るい瑠璃燈《るりとう》の下《した》にウヰス....
「枯野抄」より 著者:芥川竜之介
かすれた声で、覚束《おぼつか》ない遺言をした後は、半ば眼を見開いた儘、昏睡の状態にはいつたらしい。うす
痘痕《いも》のある顔は、顴骨《くわんこつ》ばかり露《あらは》に痩せ細つて、皺に囲まれた唇にも、とうに血....