「捨児」より 著者:芥川竜之介
また店をしまう前に、死んでしまったとか云う事でした。それから横浜へ帰って後、早速母に知れないように戸籍
謄本をとって見ると、なるほど袋物屋の言葉通り、田原町にいた時に生まれたのは、女の子に違いありません。し....
「父」より 著者:芥川竜之介
泊の修学旅行があった。「午前六時三十分上野停車場前集合、同五十分発車……」こう云う箇条が、学校から渡す
謄写版《とうしゃばん》の刷物《すりもの》に書いてある。 当日になると自分は、碌《ろく》に朝飯《あさめ....
「A LETTER FROM PRISON」より 著者:石川啄木
を久しくす。』 しかし彼は老いなかつたのである。然り。彼は遂に老いなかつたのである。 文中の句讀は
謄寫の際に予の勝手に施したもの、又或る數箇所に於て、一見明白なる書違ひ及び假名づかひの誤謬は之を正して....