「拓本の話」より 著者:会津八一
れて來たといふやうなことは、今となつては誰も知る事であるが、此所に一つ面白い例がある。それは私は今、昔
奈良の東大寺にあつた二つの唐櫃の銘文の拓本を持つて居るが、其櫃の一つは今は御物となつて正倉院にあるが、....
「南洲手抄言志録」より 著者:秋月種樹
《かたは》ら人なき若し。兵士|太《はなは》だ其の情を匿《かく》さざるに服す。幕府|砲臺《はうだい》を神
奈川に築《きづ》き、外人の來り觀るを許さず、木戸公|役徒《えきと》に雜り、自ら畚《ふご》を荷《にな》う....
「一番気乗のする時」より 著者:芥川竜之介
気持だ。 十二月は僕は何時《いつ》でも東京にゐて、その外《ほか》の場処といつたら京都《きやうと》とか
奈良《なら》とかいふ甚《はなは》だ平凡な処しかしらないんだけども、京都へ初めて往《い》つた時は十二月で....