「クリスマス・イーヴ」より 著者:アーヴィングワシントン
道で、裸の枝の間に光をこぼしながら月は澄み渡つた大空の深い穹窿を渡つてゐた。彼方の芝生は一面に雪に薄く
蔽はれ、それが彼處此處煌いてゐるのは、月光が凍つた結晶體に反射してゐたのである。そして離れたところから....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
臓は早鐘を打つようにどきどきした。ああ、いつかの小鳥の心臓! 私は子供の死体を溝に投げ込んでそれを草で
蔽うた。 それから、私は家に帰り、食事をした。食事は美味《うま》かった。なんて他愛のないことだろう。....
「初雪」より 著者:秋田滋
右のほうを望むと、サント・マルグリット島とサント・オノラ島が、波のうえにぽっかり浮び、樅《もみ》の木に
蔽われたその島の背を二つ見せている。 この広い入江のほとりや、カンヌの町を三方から囲んで屹立《きつり....