「一片の石」より 著者:会津八一
も当らない。つまり、石といへども、千年の風霜に曝露されて、平気でゐるものではない。それに野火や山火事が
崩壊を早めることもある。いかに立派な墓や石碑でも、その人の名を、まだ世間が忘れきらぬうちから、もう押し....
「百万人のそして唯一人の文学」より 著者:青野季吉
な意味にとられるが、根本的には、純小説をしつかり支《ささ》へてゐた個人主義、ないしは個人性が、それだけ
崩《くづ》れてきたのだとみられる。そしてそれだけ、小説がジャーナリスチックになり、ジャーナリズムに征服....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
、体がいよいよ弱くなって、彼はめッきり年をとった。そして、彼が心ひそかに念じている一縷の望みも日一日と
崩れて行くのだった。いまはもう、教会へお勤めに来る人はひとり残らず知っていた。そうした人たちの教会へ来....