「狂女」より 著者:秋田滋
の狂女のところには十二人来ることになったが、その十二人のうちには少佐がひとりいた。これがまた、ひどく頑
冥な老朽士官で、鼻ッぱしの荒い、気むずかし屋だった。 最初の幾日かのあいだは何ごともなく過ぎた。その....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
かないように、こんな事までもつけ加えた。喜三郎は寺の門を出ながら、加納《かのう》親子や左近の霊が彼等に
冥助《みょうじょ》を与えているような、気強さを感ぜずにはいられなかった。 甚太夫は喜三郎の話を聞きな....
「内田百間氏」より 著者:芥川竜之介
内田百間氏は夏目先生の門下にして僕の尊敬する先輩なり。文章に長じ、兼ねて志田流《しだりう》の琴に長ず。 著書「
冥途《めいど》」一巻、他人の廡下に立たざる特色あり。然れども不幸にも出版後、直に震災に遭へるが為に普《....