「尾形了斎覚え書」より 著者:芥川竜之介
へば、千万《せんばん》実事《じつじ》たるに紛れ無かる可く候。 追つて、翌十日は、朝来小雨有之候へども
辰《たつ》の下刻より春雷を催し、稍《やや》、晴れ間相きざし候折から――村郷士|梁瀬《やなせ》金十郎殿よ....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
場《ばば》へ赴《おもむ》き、茶坊主|大場重玄《おおばじゅうげん》を把らせて見よと御沙汰《ごさた》あり。
辰《たつ》の刻《こく》頃より馬場へ出御《しゅつぎょ》、大場重玄をまん中に立たせ、清八、鷹をと御意ありし....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
の暇には、面倒を見ると云う始末なのです。何でも一度なぞは勇之助が、風か何か引いていた時、折悪く河岸の西
辰《にしたつ》と云う大檀家《おおだんか》の法事があったそうですが、日錚和尚は法衣《ころも》の胸に、熱の....