「木曽義仲論」より 著者:芥川竜之介
々、馬首粟津の松原を指し、従容として自刃の地を求めたり。しかも乗馬水田に陥りて再立たず、時に飛矢あり、
颯然として流星の如く彼が内兜を射て鏃深く面に入る。而して東軍の士卒遂に彼を鞍上に刺して其首級を奪ふ。兼....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
の先に次郎の水干《すいかん》の袖《そで》を裂いて、うつむけにがくりと倒れた。たかうすびょうの矢が一筋、
颯然《さつぜん》と風を切りながら、ひとゆりゆって後頭部へ、ぐさと箆深《のぶか》く立ったからである。 ....
「文部省の仮名遣改定案について」より 著者:芥川竜之介
の文章衰ふべし。我謹厳なる委員諸公は僕等の命休するも泰然たらむは疑ふべからず。(同時に又僕等の墓上の松
颯々の声を生ずるの時に当り、僕等の作品を教科書に加へ、併せて作者の夢にも知らざる註釈を附せむも疑ふべか....