「クリスマス・イーヴ」より 著者:アーヴィングワシントン
主人も明かにそれを昔の儘の姿に修復しようと心掛けたものと見えた。どつしりと突き出てゐる煖爐の上には、甲
冑をつけて白馬の側に立つた武士《ものゝふ》の肖像が掛つて居り、それと向ひ合つた側の壁には兜と楯と槍が掛....
「木曽義仲論」より 著者:芥川竜之介
、彼の涙によりて激励せられ鼓吹せられ、よく赤幟幾万の大軍を撃破したり。しかも彼の京師に入るや、彼は其甲
冑を脱して、長裾を曳かざる可からざるの位置に立ちたりき。彼は冷眼と敏腕とを要するの位置に立ちたりき。彼....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
連ねた長篇だつた。僕は火の粉の舞ひ上るのを見ながら、ふと宮城の前にある或銅像を思ひ出した。この銅像は甲
冑《かつちう》を着、忠義の心そのもののやうに高だかと馬の上に跨《またが》つてゐた。しかし彼の敵だつたの....