「良夜」より 著者:饗庭篁村
として、東京神田万世橋の傍らへ下ろされたり。この時の予はもとの新潟県下第一の豪傑穂垂周吉にあらずして、
唖然たる癡呆の一書生なり。馬車の動揺に精神を撹乱し、単純なる空気を呼吸したる肺臓は砂煙りに混じたる汚濁....
「百万人のそして唯一人の文学」より 著者:青野季吉
、りつぱな通俗小説をかくつもりだ、といふ意味のことが、大真面目《おほまじめ》にかいてあつた。わたくしは
唖然《あぜん》とした。 純小説は、文学青年の手習ひみたいなもので、通俗小説に到達する段階にすぎないと....
「初雪」より 著者:秋田滋
すのよ」 良人は、自分の邸《やしき》に煖房を据えつけようなどと云う突飛な妻の言葉を聞くと、しばらくは
唖然としていたが、やがて、胸も張り裂けよとばかり、からからと笑いだした。銀の器に食い物をいれて飼犬に食....