「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
きば》、悉く透き徹《とほ》りたる紙もて製したる燈籠を懸け連ねたるが、その排置いと巧なれば、此莊嚴なる大
廈は火※の輪廓もて青空に畫き出されたるものゝ如くなり。人の群れ集《つど》へること、晝の祭の時にも増され....
「鳥影」より 著者:石川啄木
くなつた。足は何時しか、町へ行く路を進んでゐた。 轟然たる物の音響《ひびき》の中、頭を圧する幾層の大
廈《たいか》に挾まれた東京の大路を、苛々《いらいら》した心地《ここち》で人なだれに交つて歩いた事、両国....
「神楽坂七不思議」より 著者:泉鏡花
「奧行《おくゆき》なしの牛肉店《ぎうにくてん》。」 (いろは)のことなり、唯《と》見《み》れば大
廈《たいか》嵬然《くわいぜん》として聳《そび》ゆれども奧行《おくゆき》は少《すこ》しもなく、座敷《ざし....