「木曽義仲論」より 著者:芥川竜之介
年二十七歳、赤地の錦の直垂に、紫裾濃の鎧を重ね、鍬形の兜に黄金づくりの太刀、鴎尻に佩き反らせたる、誠に
皎として、玉樹の風前に臨むが如し。天下風を仰いで其旗下に集るもの、実に五万余人、根井大弥太行親は来れり....
「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
がなひ》ひ得て、幸《さち》ある日ぞとおもふなるべし。夜は草木の上に眠れり。されど仰いでおほ空を見れば、
皎々《かう/\》たる望月《もちづき》、黄金の船の如く、藍碧なる青雲の海に泛《うか》びて、焦《こが》れた....
「一握の砂」より 著者:石川啄木
さに ふるさとの空|遠《とほ》みかも 高《たか》き屋《や》にひとりのぼりて 愁《うれ》ひて下《くだ》る
皎《かう》として玉をあざむく小人《せうじん》も 秋《あき》来《く》といふに 物を思へり かなしきは 秋....