「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
科学そのものを味った人であることが必要であると同時に多少文才のあることを要する。悲しいかな、著者は自ら
顧みて、決してこの二つの条件を備えておるとは思わない。ただ最初の試みをするのみである。 科学者の中で....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
各種商店の飾りあだかも極楽の荘厳の如く恍然として東西を弁ぜず、乱雑して人語を明らめがたし。我自ら我身を
顧りみれば孑然《げつぜん》として小虫の如く、車夫に罵《のの》しられ馬丁に叱られ右に避け左にかがまりて、....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
官として世を去った。非の打ちどころのないその生涯は、フランス中の裁判所の評判になった。弁護士、若い法律
顧問、判事たちも、二つの凹んだ眼が光っている彼の痩せた顔に、大きな敬意を表するために、非常に低く頭を下....