「槐」より 著者:芥川竜之介
ゆ》ばかり見ることになつたら、いつか詩趣とも云ふべきものを感じないやうになつてしまつた。唯青い槐の実の
莢《さや》だけは未《いま》だに風流だと思つてゐる。 北京《ペキン》 灰捨つる路は槐《ゑんじゆ....
「木曽義仲論」より 著者:芥川竜之介
たりき。然り、彼は遂に情の人也。彼は、行家義広等の窮鳥を猟夫の手に委すに忍びざりき。彼は豆を煮るに、豆
莢を燃やすを欲せざりき。彼は児女の情を有したり。彼は行路の人に忍びざる情を有したり。あゝ「如此殺身猶洒....
「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
り。をぢは我を抱き卸《おろ》して、例の大部屋の側なる狹き一間につれゆき、一隅に玉蜀黍《たうもろこし》の
莢《さや》敷きたるを指し示し、あれこそ汝が臥床《ふしど》なれ、さきには善き檸檬水呑ませたれば、まだ喉も....