「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、それにも関らず、この荒れ模様の森林には、何か狂暴な喜びを眼ざまさせる力があるらしかった。彼は草木や蔦
蘿《つたかずら》を腕一ぱいに掻《か》きのけながら、時々大きな声を出して、吼《うな》って行く風雨に答えた....
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
佇《たたず》んで、さっきから女の来るのを待っている。 見上げると、高い石の橋欄《きょうらん》には、蔦
蘿《つたかずら》が半ば這《は》いかかって、時々その間を通りすぎる往来の人の白衣《はくい》の裾が、鮮かな....
「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ら》の址《あと》あり。その破壞して形《かた》ばかりになりたる裡に、大なる無花果樹《いちじゆく》あり。蔦
蘿《つたかづら》は隙なきまでに、これにまつはれたり。われは此樹に攀《よ》ぢ上りて、環飾編みつゝ、流行の....