「百万人のそして唯一人の文学」より 著者:青野季吉
ことはある。さきに荷風の「※東綺譚《ぼくとうきたん》」あり、秋声の「縮図」あり、近くは潤一郎の「少将|
滋幹《しげもと》の母」あり、しかしこの例は、何も計算器選択説を覆《くつが》へすものではない。ちやんと大....
「病中雑記」より 著者:芥川竜之介
原因の一つは明らかに巻煙草を無暗《むやみ》に吸ふことなり。僕の自治寮《じちれう》にありし頃、同室の藤野
滋《ふぢのしげる》君、屡《しばしば》僕を嘲《あざけ》つて曰《いはく》、「君は文科にゐる癖に巻煙草の味も....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
そう云う連中に野菜の善悪を聞いて見ると、やはりはっきりしないのですよ。たとえばある連中によれば『善悪は
滋養《じよう》の有無《うむ》なり』と云うのです。が、またほかの連中によれば『善悪は味《あじわい》にほか....