「支那の明器」より 著者:会津八一
く稀に玉製のものなどもあるが、たいていは土製ばかりである。土製と云つても瓦のやうに焼いて、上から胡粉を
塗つて、其上へ墨や絵の具で彩色したものもあるし、唐時代などになると三彩と云つて黄、褐、緑、或は藍色の釉....
「あばばばば」より 著者:芥川竜之介
ソオの壜だのココアの罐だの干《ほ》し葡萄《ぶだう》の箱だのが並べてある。が、軒先に「たばこ」と抜いた赤
塗りの看板が出てゐるから、勿論マツチも売らない筈はない。彼は店を覗《のぞ》きこみながら、「マツチを一つ....
「芋粥」より 著者:芥川竜之介
《は》いてゐる太刀も、頗る覚束《おぼつか》ない物で、柄《つか》の金具も如何《いかが》はしければ、黒鞘の
塗も剥げかかつてゐる。これが例の赤鼻で、だらしなく草履をひきずりながら、唯でさへ猫背なのを、一層寒空の....