「南瓜」より 著者:芥川竜之介
洒落のわかつたのが、うれしくつてたまらないと云ふ連中ばかりなんだ。 あいつも始《はじめ》はそれが、味
噌気《みそけ》だつたんだらう。僕が知つてからも、随分《ずゐぶん》いい気になつて、擽《くすぐ》つたもんさ....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
は、それを一々意識するだけの余裕がない。ただ、斬られたと云う簡単な事実だけが、苦しいほどはっきり、脳味
噌に焦《こ》げついている。斬られた。斬られた。――こう心の中に繰返しながら、彼は全く機械的に、汗みずく....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
発句もお作りになると、こうにらんだ手前の眼光は、やっぱりたいしたものでございますな。これはとんだ手前味
噌《てまえみそ》になりました。」 平吉はまた大きな声を立てて、笑った。さっきの眇《すがめ》はもう側《....