「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
じめようとしたが、からからに乾いた舌が上顎《うわあご》にくっついてしまった。一節も歌えなかった。この執
拗《しつよう》な道連れが不機嫌におし黙っているのは、なにか不可解で、おそろしかった。間もなく、ぞっとす....
「秋」より 著者:芥川竜之介
事も口へ出した。信子は気のない返事をしながら、夫の襟飾の絽刺《ろざ》しをしてゐた。すると夫は意外な位執
拗に、「その襟飾にしてもさ、買ふ方が反《かへ》つて安くつくぢやないか。」と、やはりねちねちした調子で云....
「或阿呆の一生」より 著者:芥川竜之介
。氷河の懸つた山の上には禿鷹《はげたか》の影さへ見えなかつた。が、背の低い露西亜《ロシア》人が一人、執
拗《しつえう》に山道を登りつづけてゐた。 ヴオルテエルの家も夜になつた後、彼は明るいランプの下にかう....