「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
門のまわりを離れましたが、見ると鍛冶は、竹馬を持ったまま、相手の足もとにのけぞり返って、口からはまるで
癲癇病《てんかんや》みのように白い泡さえも噴いて居ります。沙門はしばらくその呼吸を窺っているようでござ....
「雛」より 著者:芥川竜之介
《ひぢ》に顔を隠しました。その後父母の死んだ時にも、涙一つ落さなかつた兄、――永年政治に奔走してから、
癲狂院《てんきやうゐん》へ送られる迄、一度も弱みを見せなかつた兄、――さう云ふ兄がこの時だけは啜《すす....
「文芸的な、余りに文芸的な」より 著者:芥川竜之介
を挙げて十字軍に加はらせたのも、――しかしそれは「文芸的な、余りに文芸的な」問題ではないかも知れない。
癲癇《てんかん》は古来「神聖な病」と云ふ名を与へられてゐる。するとヒステリイもことによれば、「詩的な病....