「文芸的な、余りに文芸的な」より 著者:芥川竜之介
よりも太く、ガツシリした拵《こしら》へだつた。吸口の方に玉藻《たまも》の前《まへ》が檜扇《ひあふぎ》を
翳《かざ》して居る所が象眼《ざうがん》になつてゐる。……彼は其の鮮《あざやか》な細工に暫く見惚《みと》....
「路上」より 著者:芥川竜之介
窓があって、その窓の外には茂った椎《しい》の葉が、僅《わずか》に空の色を透《す》かせた。空は絶えず雲の
翳《かげ》に遮《さえぎ》られて、春先の麗《うら》らかな日の光も、滅多《めった》にさしては来なかった。さ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
時《とき》たちまち、右手《みぎて》に高《たか》く、御秘蔵《ごひぞう》の御神剣《ごしんけん》を打《ふ》り
翳《かざ》し、漆《うるし》の黒髪《くろかみ》を風《かぜ》に靡《なび》かせながら、部下《ぶか》の軍兵《つ....