「クリスマス・イーヴ」より 著者:アーヴィングワシントン
老主人も明かにそれを昔の儘の姿に修復しようと心掛けたものと見えた。どつしりと突き出てゐる煖爐の上には、
甲冑をつけて白馬の側に立つた武士《ものゝふ》の肖像が掛つて居り、それと向ひ合つた側の壁には兜と楯と槍が....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
はずれてよく光るのが路《みち》を横ぎって流れ、彼をおどろかした。なにかのはずみで、大きな馬鹿《ばか》な
甲虫《かぶとむし》がまごついて飛んできて彼にぶつかろうものなら、このあわれな男は魔女のまじないにうたれ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
きことさながらに足へ植えたるごとし。呉牛《ごぎゅう》の喘ぎ苦しく胡馬《こば》の嘶《いなな》きを願えども
甲斐なし。夜はなおさら昼のホテリの残りて堪えがたければ迚《とて》も寝られぬ事ならば、今宵は月も明らかな....