「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
屋の丁稚《でっち》が一人、それを遺恨に思って、暮方《くれがた》その職人の外へ出る所を待伏せて、いきなり
鉤《かぎ》を向うの肩へ打ちこんだと云うじゃありませんか。それも「主人の讐《かたき》、思い知れ」と云いな....
「骨董羹」より 著者:芥川竜之介
裙裾《ひとをよんであひともなつてくんきよをあらふ》」と。春風《しゆんぷう》珠簾《しゆれん》を吹いて、銀
鉤《ぎんこう》を蕩《たう》するの処、蛾眉《がび》の宮人の衣裙《いくん》を洗ふを見る、月事《げつじ》も亦....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
すと、今度は平太夫も口を噤《つぐ》んで、一しきりやめていた扇をまたも使い出しました。私の甥はその間中|
鉤《はり》にかかった鮠《はえ》も忘れるくらい、聞き耳を立てて居りましたが、この夢の話を聞いている中は、....