「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
若い馬などは及びもつかなかったのである。 イカバッドはそのような馬には誂《あつら》えむきの男だった。
鐙《あぶみ》が短かったので、両膝《りょうひざ》が鞍《くら》の前輪にとどくほど高くあがった。彼の尖《とが....
「クラリモンド」より 著者:芥川竜之介
匹、焦立たしげに土を蹴つて鼻孔から吐く煙のやうな水蒸気の長い流に、胸をかくしながら、立つてゐる。其男は
鐙《あぶみ》を執つて、わしの馬に乗るのを扶けて呉れた。それから彼は唯、手を鞍の前輪へかけた許りで、ひら....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
りするだけです。五六日前の午後のことです。僕はやはり木枕をしたまま、厚い渋紙の表紙をかけた「大久保武蔵
鐙《おおくぼむさしあぶみ》」を読んでいました。するとそこへ襖《ふすま》をあけていきなり顔を出したのは下....