「拓本の話」より 著者:会津八一
へ押しつけながら轉がす方が手際よく行くかも知れぬ、――すると壓力と濕氣の爲めに紙は石面の文字のあらゆる
凸凹にまんべんなく喰ひ込む。それから少し時間を措いて、紙の濕氣が少し乾くのを見計つて、饅頭のやうにふつ....
「日本小説の支那訳」より 著者:芥川竜之介
《だたう》を欠いたものもないではない。 例へば、加藤武雄君の「郷愁《きやうしう》」のうちに、デコ坊(
凸哥児)を註して、 〔Dekkobo_〕――原意是前額
凸出的小児、後来只当作一種親愛的諢名。 と云ふ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
《のぞ》かれる空には昼月が少し光って見え隠れに眺められた。彼れは遂に馬力の上に酔い倒れた。物慣れた馬は
凸凹の山道を上手に拾いながら歩いて行った。馬車はかしいだり跳ねたりした。その中で彼れは快い夢に入ったり....