「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
ノステルを口にした日本を、――貴族の夫人たちが、珊瑚《さんご》の念珠《ねんじゅ》を爪繰《つまぐ》って、
毘留善麻利耶《びるぜんまりあ》の前に跪《ひざまず》いた日本を、その彼が訪れなかったと云う筈はない。更に....
「虱」より 著者:芥川竜之介
ふ》、山岸三十郎の二人で、佃組の船には白幟《しろのぼり》、山岸組の船には赤幟が立つてゐる。五百石積の金
毘羅《こんぴら》船が、皆それぞれ、紅白の幟を風にひるがへして、川口を海へのり出した時の景色は、如何《い....
「煙草と悪魔」より 著者:芥川竜之介
ぼ」の手に、渡す事を思へば、勿論、弱い音《ね》なぞを吐いてゐるべき場合ではない。 そこで、牛商人は、
毘留善麻利耶《びるぜんまりや》の加護を願ひながら、思ひ切つて、予《あらかじめ》、もくろんで置いた計画を....