「三太郎の日記 第一」より 著者:阿部次郎
接な記録である。之を内容的に云へば、舊著「影と聲」の後を承けた彷徨の時代から――人生と自己とに對して素
樸な信頼を失つた疑惑の時代から、少しく此信頼を恢復し得るやうになつた今日に至るまでの、小さい開展の記録....
「三太郎の日記 第二」より 著者:阿部次郎
。併し教團の擴大と共に、フランシスにとつては悲しい事が起つて來た。それは法律と學者との精神が、最初の簡
樸な、清素な精神を紊し始めた事であつた。フランシスは全力を擧げて此新しい傾向と戰つた。併し自然の推移は....
「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ふことの苛酷なることぞといふ。われは心に慙《は》ぢて、我詞の全く師の口眞似なるを白状したり。主人も我が
樸直《すなほ》なるをや喜びけん、書を取りて我にわたしていふやう。好し、一「パオロ」にて君に賣らん。その....