「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
要であるより以上な物を一切用いないように注意した。 実験が済めば、室を出て階上に登って行き、あとは書
斎で考える。この順序正しいことと、道具を出来るだけ少ししか使わないこととは、ファラデー自身がしただけで....
「隅田の春」より 著者:饗庭篁村
、近頃《ちかごろ》一新聞《あるしんぶん》に菊塢《きくう》は無学《むがく》なりしゆゑ、詩仏《しぶつ》や鵬
斎《ぼうさい》に詩文《しぶん》にてなぶり者《もの》にされたりといふ事《こと》見《み》えたるが、元《もと....
「秋」より 著者:芥川竜之介
子は妙に恥しさを感じながら、派手な裏のついた上衣《コオト》をそつと玄関の隅に脱いだ。 俊吉は彼女を書
斎兼客間の八畳へ坐らせた。座敷の中には何処を見ても、本ばかり乱雑に積んであつた。殊に午後の日の当つた障....