「良夜」より 著者:饗庭篁村
に放されたるように我身ながら快よく思われて、造化広大の恩人も木も石も金もともに燬《や》くるかと疑わるる
炎暑の候にまたかくの如く無尽の涼味を貯えて人の取るに任すとは有難き事なりと、古人の作中、得意の詩や歌を....
「墓」より 著者:秋田滋
遠くまで散歩をいたしました。折あしく俄か雨にあいまして、彼女は風邪をひいてしまったのです。 翌日、肺
炎を起しまして、それから一週間後には、彼女はもうこの世の人ではなくなってしまったのです。 断末魔の苦....
「初雪」より 著者:秋田滋
すり睡《ねむ》った。 翌日になると、咳がしきりに出た。彼女は、もう床から起きることが出来なかった。肺
炎になってしまったのである。彼女は譫言《うわごと》を云った。その譫言のなかでも、彼女はやッぱり煖房を欲....