「あの頃の自分の事」より 著者:芥川竜之介
無暗に友染縮緬《いうぜんちりめん》のやうな台辞《せりふ》が多くつて、どうも永井荷風氏や谷崎潤一郎氏の糟
粕《さうはく》を嘗《な》めてゐるやうな観があつた。だから自分は言下《ごんか》に悪作だとけなしつけた。成....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
つかわ》すよりも、六牙象王《ろくげのぞうおう》の味噌漬《みそづ》けだの、天竜八部《てんりゅうはちぶ》の
粕漬《かすづ》けだの、天竺《てんじく》の珍味を降《ふ》らせたかも知らぬ。もっとも食足《くいた》れば淫《....
「文芸的な、余りに文芸的な」より 著者:芥川竜之介
の総決算である。僕はこれ等の総決算を見、如何に独創と云ふことの困難であるかと云ふことを感じた。古人の糟
粕《さうはく》を嘗《な》めないなどとは誰でも易々と放言し易い。が、彼等の仕事を見ると、(或は仕事を見て....