「百万人のそして唯一人の文学」より 著者:青野季吉
《もつと》も極く稀《ま》れには、棚上げした純小説の作家を取り下して来ることはある。さきに荷風の「※東綺
譚《ぼくとうきたん》」あり、秋声の「縮図」あり、近くは潤一郎の「少将|滋幹《しげもと》の母」あり、しか....
「貝殻」より 著者:芥川竜之介
た。彼はそれ以来別人のやうに彼の語学力に確信を持ち、とうとう名高い英語学者になつた。――これは彼の立志
譚《りつしだん》である。しかし僕に面白かつたのは彼の留守宅に住んでゐた彼の母親の言葉だつた。「うちの....
「河童」より 著者:芥川竜之介
からず興味を感じました。(何しろ河童の強敵に獺のゐるなどと云ふことは「水虎考略」の著者は勿論、「山島民
譚集」の著者柳田国男さんさへ知らずにゐたらしい新事実ですから。) 「あの戦争の起る前には勿論両国とも油....