「クリスマス・イーヴ」より 著者:アーヴィングワシントン
の一部分を照した。樂音は、遠|退《の》くに從つてだんだんに柔かく、空に漂ふやうに聞きなされ、あたりの靜
寂と月の光とに調和するやうに思はれた。わたしは、いつまでもいつまでも耳を凝《こら》して聞き入つた――樂....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
たま鶉《うずら》が鳴いたり、啄木鳥《きつつき》の木を叩《たた》く音が聞えるが、あたりに漲《みな》ぎる静
寂を破る響はそれくらいのものだ。 思いおこしてみると、わたしがまだ少年のころはじめて栗鼠射《りすう》....
「一片の石」より 著者:会津八一
のままであるのに、さしもに人間の思ひを籠めた記念物が、もう無くなつてゐることは、いくらもある。まことに
寂しいことである。 むかし晋の世に、羊※といふ人があつた。学識もあり、手腕もあり、情味の深い、立派な....