「開化の殺人」より 著者:芥川竜之介
ふに至つては、誰か善く彼を目して、人間の疫癘《えきれい》と做《な》さざるを得んや。既に彼を存するの風を
頽《おと》し俗を濫《みだ》る所以《ゆゑん》なるを知り、彼を除くの老を扶《たす》け幼を憐む所以なるを知る....
「「鏡花全集」目録開口」より 著者:芥川竜之介
しましめ、泥沙《でいさ》頻《しきり》に老龍を困しましむ。先生此逆境に立ちて、隻手|羅曼《ロマン》主義の
頽瀾《たいらん》を支へ、孤節《こせつ》紅葉《こうえふ》山人の衣鉢を守る。轗軻《かんか》不遇の情、独往大....
「続文芸的な、余りに文芸的な」より 著者:芥川竜之介
オン、「ペングインの島」の作家だつた彼もここでは面目を新たにしてゐる。尤も唯物主義的に解釈すれば、彼の
頽齢《たいれい》や病なども或は彼の人生観を暗いものにしてゐたかも知れない。しかしこれは彼の作品中、比較....