「クリスマス・イーヴ」より 著者:アーヴィングワシントン
して射しこんだ、そして古風な部屋の一部分を照した。樂音は、遠|退《の》くに從つてだんだんに柔かく、空に
漂ふやうに聞きなされ、あたりの靜寂と月の光とに調和するやうに思はれた。わたしは、いつまでもいつまでも耳....
「寡婦」より 著者:秋田滋
靄《もや》がいちめんに立っておりました。林の隙間を月が塞ごうとするかのように、綿のような靄がいちめんに
漂っておりました。すると、その子は出し抜けに立ちどまって、私の手をにぎり緊《し》めて、こう云うのです。....
「墓」より 著者:秋田滋
とあがって来て、わたくしの顔を撫でました。ああ、彼女の床には菖蒲《しょうぶ》の香りが馥郁《ふくいく》と
漂っていたのでありますが――。しかし、わたくしは棺を開けました。そして、火をともした提燈をそのなかにさ....